藤原のメモ

読んだ本や見た映像のメモとして。

「読書」ー料理の科学①

 

 

ラーメン屋をやっている友達が料理の科学的なことを知りたがっていたので、家に積まれていたこの本を貸すことになった(すごいちょうどいい本があったものだ)。

昔買ってちょっとしか読んでなかったから、通読してみることに。

読んでみたら思った以上に面白かった。

 

甘いもの、塩、脂肪、キッチン回り、肉と魚・・・の5章立てで構成されている。

特に面白かったのは、脂肪、肉と魚の章。

久しぶりに化学(ケミストリー)の面白さを味わった気がする。料理の科学だけに。

 

以下メモとしてさくっと覚えておきたいことを記す。

 

〇脂肪

「脂肪」と「脂肪酸」の違いは?

・脂肪分子1個は、3個の脂肪酸分子を持っている。脂肪酸には飽和脂肪酸不飽和脂肪酸がある。脂肪酸は脂肪を構成する成分で、カルボン酸と呼ぶグループに属する。

・1個の脂肪酸分子は16~18(またはそれ以上)もの炭素原子の鎖で構成されており、炭素原子1個につき水素原子2個が結びついている。

・鎖の炭素原子すべてに水素原子一対がついている場合、その脂肪酸は(水素で)飽和しているという。

・鎖のどこか一か所で水素原子一対が描けている場合は一価不飽和、二か所以上で欠けている場合は、多価不飽和と呼ばれる。(実際には隣接する二つの炭素原子からそれぞれすそ原子が一個ずつ欠けている)

・オメガ三脂肪酸、というのは、水素原子一対が最初に欠けている(最初の2重結合の)場所が、多価不飽和脂肪酸分子の末端から何番目かを表すために科学者が用いる表現。オメガはギリシャ語アルファべットの最後の文字。

脂肪酸は一般に、不快な味と悪臭をもつが、通常食べたらオエッとなるような遊離した状態で食品中には存在しない。

・グリセルロールという化学物質と結合していることによって特徴がやわらげられている。割合はグリセルロール分子1個に対し脂肪酸分子3個。グリセルロール分子1個に結びつけられた脂肪酸分子3個が、脂肪分子1個を構成している。

・この分子を化学者はトリグリセリドと呼ぶが、一般的な呼び名は単純に「脂肪」で、なぜかと言えば、自然の脂肪分子の圧倒的大多数がトリグリセリドだから。

・脂肪分子中の脂肪酸は、すべて同種の場合も、異なる種類の組み合わせの場合もある。例えば、飽和脂肪酸2個+多価不飽和脂肪酸1個もあれば、一価不飽和脂肪酸1個+多価不飽和脂肪酸1個+飽和脂肪酸1個、あるいは3個すべてが多価不飽和脂肪酸のときもある。

・実際の動物性あるいは植物性脂肪は、様々な組み合わせの脂肪酸を含む、多くの異なる脂肪分子の混合物である。

・一般に鎖が短く飽和度の低い脂肪酸は柔らかい脂肪を、長い鎖で飽和度が高い脂肪酸は固い脂肪をつくる。

・その理由は、不飽和脂肪酸の中で一対の水素原子が欠けている箇所(2重結合のある個所)には、脂肪酸分子にねじれが生じているから。

・その結果、脂肪分子は固体の構造を形成できるほどの密度で集まることが出来ず、脂肪は固形よりも液体になる確率が高くなる。

・したがって、大部分が飽和している動物性脂肪は固形に、大部分が不飽和の植物性脂肪は液体になる傾向がある。

・あるオリーブオイルのラベルに、70%が一価不飽和、15%が飽和、15%が多価不飽和と書かれたいたら、それはこの三種類の脂肪酸の割合で、オイル中の様々な脂肪分子に含まれる各脂肪酸を合計して割り出したもの。

・それぞれの脂肪酸がどの脂肪分子に含まれているかは、どうでもいいこと。

・なぜなら、オイルの質が健康にいいか悪いかを決めるのは、各脂肪分子に含まれる脂肪酸の総計に対する、三シュルの脂肪酸の相対的な量以外にないから。

・全ての脂肪分子のうち、グリセルロールの部分は栄養的に重要ではなく、形だけ参加しているようなもの。

 

マーガリンはとりすぎると健康に良くない、とよく聞きます。私の知り合いがいうには、健康に良くないのはマーガリンが「部分水素化」されているからだ、と言うのですが、本当でしょうか。「部分水素化」というのが良く分からないのですが、どういうことですか。

・マーガリンに含まれている油を「水素化」するということは、すなわち、水素原子に圧力をかけて油分子の中に押し込み、飽和度を高めるということ。

・飽和脂肪は、不飽和脂肪よりも密度が高い、(液体よりも固体に近い)、から。

・油分子の中の水素の欠けている隙間(二重結合)を水素原子が埋めると、柔軟性が増す。すると寄り集まって、しっかりくっつき合うことが出来、簡単には動かなくなる。その結果、脂肪は密度が高くなり、液体よりも固体に近づく。

・マーガリンに含まれる油が部分水素化されていなければ、パンに塗るのではなく注ぐことになるだろう。

・ただし、部分水素化で補うのは、分子中に欠けている水素原子の約20%にすぎない。もしマーガリンを100%水素化したら、トーストに蝋を塗ろうとしているような感じになってしまうだろう。

・残念なことに飽和脂肪酸不飽和脂肪酸と比べて、ヘルシーではない。

・したがって、食品製造業者は、健康のために最小限の水素化を、一方で求められるテクスチャー(食感や歯ごたえ)を出すのに十分な水素化をという、綱渡りのようなことをおこなっている。

 

トランス脂肪酸は植物油に自然に生じるものではなく、水素化された時に発生する。

・添加された二つの水素原子は、両方が炭素鎖の同じ側に(シス配列)結びつくとは限らず、鎖の反対側に(トランス配列)結びつくことがある。

・すると、脂肪酸の分子はねじれた形状からまっすぐな形状に変化し、性質も振る舞いも飽和脂肪酸に似たものになる。

 

〇肉と魚介

赤肉の赤は血の赤か

・赤身の肉には、血液はないと言っていいくらい。肉が肉屋に届くまでに残っていることはなく、食卓に載るころにはもっと少なくなっている。

・血液が赤いのは鉄含有たんぱく質のへもグラビンが含まれているからで、ヘモグロビンは、体を動かすために酸素を必要とする筋肉組織に向けて、肺から酸素を運ぶ。

・けれど、赤身肉の色の大部分を占めているのはヘモグロビンではない。

・赤くて、鉄を含有し、酸素を運ぶ、もう一つのたんぱく質、ミオグロビンの色である。

・ミオグロビンの役目は、筋肉の中に酸素を蓄え、動けと言う要請があった時に筋肉がすぐに使える状態にしておくこと。現場でスタンバイしているミオグロビンがなければ、筋肉はすぐに酸素を使い果たし、次に血液が届くまで待たなければならない。そのため長期にわたる激しい運動は不可能になる。

・ミオグロビンを加熱すると、ヘモグロビンと同じように褐色になる。

・そのため焼き具合がウェルダンの牛肉はグレイがかった茶色になり、レアの牛肉は赤いままなのである。

・新鮮な生の牛肉はミオグロビンのいろである紫がかった色をしている。

・動物の種類もさまざまなら、筋肉組織に含まれるミオグロビンの量もさまざまで、それは、激しい運動に使う酸素の必要貯蔵量がそれぞれに違うから。

・豚肉は牛肉よりもミオグロビンが少ないのでピンク色である。

・魚に含まれるミオグロビンはさらに少量である。

・つまり動物の肉の色は、それぞれの動物種の、筋肉の持続的な運動に対する、進化上の必要性に応じて、赤、ピンク、または白と決まると言う事。

・例えば、マグロの肉はかなり赤い色をしていますが、これは、マグロが激しく速い動きで泳ぎ、世界中の海をめぐって膨大な距離を回遊するから。

・これで、鶏の首、脚、腿の肉の色は濃いのに、胸の肉は白い理由が分かった。

・鶏は餌をつつく動作で首を、歩くことで脚を鍛えるけれど、あの大きな胸の部分はただのお荷物なのである。

・白い胸肉を持つように繁殖させているのは、アメリカ人が他の国に比べて白身の肉を好む傾向が強いから。

 

 

〇おわりに

脂肪の章は昔を思い出して懐かしい感じで楽しく読めた。

ミオグロビンの話は全然知らなかったので面白かったな。

 

 

著者は化学者なので化学の観点から料理を分析している。

だからタイトルは料理の化学の方が正しいと思う。

(英語のタイトルは「what einstein told   his cook」で「アインシュタインが料理についていった事」みたいな感じ?)

ただ、この本は前後に分かれていて、この本の続きだと電子レンジとか結構物理的な話も出てくるから、「科学」にしたのかな。

でも大部分の話は化学を元に展開される。

 

上にメモった内容が一番むずかしい所だから、化学についてそんなに知らなくても問題なく読めるはず。

 

↓続きの本。

こっちはあまり興味のある内容ではなかったので流し読み。

圧倒的に①の方が面白い。

①がメインディッシュ、②がサイドディッシュ。

友達に貸すのも①だけでいいか。